このブログでは、私たちのラジオ「わたなべ夫婦のふたりごと」にて、皆さまから寄せられた人生相談への回答をまとめています。
本日は、
「介護が必要な祖母を見捨て、
離婚し旅に出たいと祖父が
言い出しました…」
というお悩みに対して、
お答えさせていただきます!
本日のパーソナリティ
【わたなべ夫婦】
- ラジオ配信アプリstand.fmにて
人生相談チャンネルを運営中 - SNS総フォロワー数は23万人超え
- 人生相談の累計回答数は1,500件突破!
- 結婚7年目の夫婦。妊活はお休み中。
- 二人とも元銀行員で元YouTuber。
- 現在は不動産投資やブログを運営しつつ
保護猫とのんびり暮らしてます。
夫婦関係は破綻していた。妻の面倒を見る義理は無い!
まずはラジオに頂いたレターをご紹介します。
「匿名」さん
こんにちは。
いつも楽しく拝聴しております。
今回は祖父のことで相談
させてください。
私は29歳女。既婚。
祖父宅と実家がとても近く、
幼少期は毎日通って親以上に
心を開ける存在でした。
今でも週一程度
顔を見に行っています。
最近祖母が体調を崩し、
要介護となり、
施設に入れるか
訪問介護を頼むか等
家族で話し合っていました。
祖母は家で死にたいと
希望しており、
訪問介護をと思っていましたが、
祖父がお金の心配をし出しました。
詳しく話を聞くと、50年以上前から
夫婦関係は破綻している。
色々と積もり積もった不満がある。
祖母の面倒を見る義理はない。
お金がかかるなら離婚して
財産を半分にし、
祖母の分から出させたい。との事。
息子である私の父に、
余りにも無責任だ。
と責められ喧嘩になると、
今まで奴隷のように
家族のために働くだけの人生だった。
離婚して好きなところに行き
自由に生きたい。
無縁仏になっても構わないので
誰にも行き先を伝えず
行きたいところを点々として
死にたいと言うのです。
祖父も持病を抱えており、
要介護とまでは行きませんが
88の高齢です。放り出せません。
ご意見頂ければ幸いです。
匿名さん。
お答えします。
今回のレターを頂戴した直後は、
「お金をどうしたらいいか」
「祖父の旅騒動をどう収拾したらいいか」
といった事が問題で、
私はそれについてお答えしなければ。
と、捉えていました。
でも、何度も読み返すうち、
「あぁ、それは違う」と気づきました。
実はこのレターの本質は
【お金や死に場所】ではなく、
【おじいちゃんの孤独や辛さ】
が本当の問題だったのですね。
まず、おばあちゃんの件について、
「訪問介護にしよう」
と皆さんが決めた時。
おじいちゃんは最初、
「お金が心配」と仰った。
しかし、突き詰めてみると、
50年以上前から
夫婦関係は破綻している。
色々と積もり積もった不満がある。
と、話をしてくれたのですね。
ここで私は、
冒頭のお金の話は単に、
この胸の内を隠すためのツールとして
出てきたように感じました。
また、同時に私は、
匿名さんのおじいちゃんが、
よくこのタイミングで、
胸の内を打ち明けてくれた…!
と、読んでいて敬服致しました。
私はまだ、31歳ですから、
88歳の方の境地や心の内を
完ぺきに想像することは到底、出来ません。
私たちよりももっと
老いや死を身近に感じている。
そんな方の心境を
想像するのは大変難しいですが、
それでも、
ずっとずっと胸の内に誰にも話せず、
抱えて来た苦しさ。孤独。
その辛さは、
どれほどのものだったのだろう。
と考えてみると、私は心が苦しくて、
溜まらなくなりました。
きっと夫婦関係が破綻しているという
事実に目を向けるのは、
さぞ、嫌だったと思います。
そんな事実、誰であっても
直視して受け入れたくないだろうし、
何よりも人に、話したくなかっただろう…
とも思います。
でも、おじいちゃんは、
その怖さや辛さを乗り越えて、
打ち明けてくれた。
…しかし、どうでしょう。
おそらく、その告白をしたその時、
誰も受け入れてあげなかったのでは
無いでしょうか。
「何を無責任な!」と、
開口一番、
責め立てたのではないでしょうか。
もしこの時のおじいちゃんが、
私だったら。
【夫婦関係の破綻】という、
ずっと直視したくなかった現実に
どうにか目を向けて、
恥ずかしい、苦しいと思いながら、
更に僕は孤独だった。苦しかった。
と、ようやく口に出したことが。
「無責任だ!」
と言われたなら。
「もうこの世に自分を
理解してくれる人などいない。」
「家の中にいても、
自分の居場所なんてどこにもない。」
「自分は、ずっと一人ぼっちだ。
これまでも、そしてこれからも。」
こんな風に、
感じるだろうと思いました。
そして、もしおじいちゃんも
こう感じたとしたなら…
この、
「誰も、分かってくれない!」
という気持ちの表れこそが、
無縁仏になっても構わないので
誰にも行き先を伝えず
行きたいところを点々として
死にたい
という発言に繋がったのだろうと思います。
そう考えると、
この旅に出て死にたいというのも、
本当の真意は分かりませんが…
おそらく本気で願っていることではないと、
私は感じるのです。
おじいちゃんは、
「奴隷のように働いてきた」
「辛かった」と、
素直な自分の気持ちを話したら、
「無責任だ」と否定されました。
その経験から、今のおじいちゃんは、
本音を隠してしまっているのですね。
本当の気持ちを出したって、
良い事が無かったから。
要するに、
「旅に出る」という発言は、
孤独や悲しみを隠すための言葉に
過ぎないのでは無いでしょうか。
以上から、私は、
お金や旅は問題の本質ではないと
考えました。
おじいちゃんはずっと50年間、
苦しんできました。
我慢して我慢して、
88歳になってようやく打ち明けてみたら、
否定された。
もしかしたらその瞬間は、
人生で一番の孤独を
感じたかもしれません。
こんなおじいちゃんに、
してあげられることは一体、
何があるのでしょうか。
匿名さん。
私はここで、
あなたの出番だと感じました。
匿名さんは、
幼少期は毎日通って親以上に
心を開ける存在でした。
今でも週一程度
顔を見に行っています。
と書くほど、
おじいちゃんのことが大好きで、
とても大切に感じていらっしゃる。
だからこそぜひ、
そんな大切なおじいちゃんの、
一番の理解者に
なってあげて欲しいのです。
可能であれば、
おじいちゃんが
心の内に50年もの間ため込んだ、
悲しさ、孤独、辛さ、寂しさ。
認めてもらいたかった気持ち。
こんな気持ちを、
全部、受け入れてあげて欲しいのです。
今更で構わないから、
あの時勇気を出して打ち明けた告白を、
「話してくれてありがとう。
辛かったね」
と、受け入れてあげてほしい。
そして、言葉にして、
「おじいちゃん、大好き!」
を伝えてあげて欲しいのです。
おじいちゃんは50年間ずっと、
誰かに自分のありのままの存在を
受け入れてもらいたかった。
頑張ってたのに、
誰も褒めてくれなかったし、
家の中では空気のように扱われた。
「自分は、いてもいなくても、
同じなのか?」
自分の存在を誰からも、
尊重してもらえてない気がしていた。
「誰か」
「ありのままを、受け入れて」
おじいちゃんの本心は
ずっとこんなことを、
願っていたのかもしれません。
私には、おじいちゃんの
本当の本音の部分は分かりませんから、
ここまでの話は全部、
私の想像です。
けれども、当たらずといえども
遠からずな気もしています。
なぜなら、
離婚してお金を折半したら
50年溜まったこれまでの苦しさが
おじいちゃんからすっぽり抜け落ちるのか…
といえば、私は懐疑的だし、
旅に出て一人で死ぬのが幸せなのか?
と考えても、
やっぱりこちらも分かりません。
でも、一つなんとなく思うことは、
匿名さんだけでも、
「ありのままの心を受け入れてくれる人」
が身近にいたとしたら…
匿名さんの存在で、
どれだけ救われるんだろう。
ということです。そして、
おじいちゃんの心が
少しでもおだやかになったとき、
もしかしたら…
話す内容や介護に関して提示する条件が、
変わるのかもしれない。
とも感じています。
だって本当は、
お金の心配をしているわけでも、
旅をしたいわけでも、
きっと無いのですから。
匿名さん。
匿名さんはとってもお優しい方。
そして、
おじいちゃんのことを心から
大切だと感じていらっしゃる。
だからこそ、
今世界で一人ぼっちだと
感じているおじいちゃんの、
心に、寄り添ってあげられるのは、
匿名さん。あなたです。
完ぺきじゃなくてもいい。
でもあなたならきっと、
出来るはず。
言葉が見つからなければ、
側にいるだけでも良い。
少しでも、おじいちゃんの心が、
癒されますように。
心から応援しております。
ほなほな。
今回、取り上げたラジオはコチラ